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見せ金は違法です

株式会社設立の際の見せ金は違法です

株式会社を設立するときは、定款に定められた額の資本金を取扱金融機関に払い込まなければなりません。ところが指定期日までに、どうしても資金調達が間に合わないこともあります。そのような場合の抜け道として、かつては預合いや見せ金といった方法が用いられました。預合いは取扱金融機関と通謀して、実際にはお金をやりとりせずに、帳簿上の操作だけで払込があったように見せかける行為です。これでも形式的には株式会社設立の要件を満たすため、資金不足の会社ではしばしば行なわれました。

しかし預合いは原則的に違法行為であり、払込も無効とされています。そもそも資本金は、債権者を保護するために必要なものです。株式会社は有限責任であるため、債権者が経営者個人から借金を取り立てることはできません。弁済に充てられるのは、最終的には会社の財産である資本金だけです。そのため資本維持の原則や資本充実の原則があり、資本金に相当する額の財産は、必ず社内になければならないとされています。預合いはこの原則を無視しているため、もし実行すれば会社設立が無効になるだけでなく、5年以下の懲役または500万円以下の罰金刑が科せられます。そこで別の方法として、見せ金が考え出されました。

見せ金は取扱金融機関ではなく、別の金融機関から借金して払い込む方法です。そして株式会社設立の登記を済ませたら、ただちに資本金を引き出して借金を返済します。実質的には社内に財産が残らないわけですから、預合いと同様に債権者を危険に陥れる行為です。ですから最高裁の判決でも、見せ金による払込は無効とされています。

ただ預合いの場合と違って、銀行の担当者と通謀したという事実がないため、見せ金であることを証明するのは難しい面があります。普通に経営していれば、金融機関から資金を借りたり返したりするのは日常的に起こりうることだからです。払い込まれた資金が見せ金に当たるかどうかは、個々の場合に応じて判断されます。具体的には借入から返済までの期間が短すぎないか、借り入れた資金が実際の事業のために支出されているか、返済したために会社全体が資金難に陥っていないか、等の側面から検討されます。もちろん見せ金であると判断されれば、株式会社の設立自体が無効になっていまいます。株式会社の設立には、資金的に十分な余裕を持って臨むのが望ましいことは当然です。しかし土壇場で不足したときは、あくまで適法と見なされるような調達方法を用いなければなりません。